セクハラ被害を訴えた韓国女性兵士はなぜ、自殺に追い込まれたのか

55万人にも及ぶ軍隊は国内でも最も序列が厳しく、男性優位の組織のひとつだ。

韓国は1951年から一定期間軍隊に所属する徴兵制を実施し、18〜40歳の全ての男性に兵役の義務が課せられる。女性に兵役義務はないが、自主的に入隊することができる。55万人にも及ぶ軍隊は国内でも最も序列が厳しく、男性優位の組織のひとつであるがゆえ、男女間の問題も発生する。

韓国国防省が2019年に実施した調査では、性的暴行を受けた経験があると答えた人も少なくない。そのうち、当局に報告したひとは3分の1以下だった。行動を起こしても〈何も変わらない〉と思った人がほとんどだったためだ。

2021年、当時22歳のイ・イェラム中士が同僚の男性から繰り返し性的暴行を受け、自ら命を絶った。事件の後、国民の怒りが噴出し国会に改正法の提出をするように要求。殺人や性犯罪などのすべての重犯罪を軍事裁判所ではなく民間裁判所が担当するという法案だ。

VICE World Newsは、韓国海兵隊の元大尉、そして軍人権センターの相談支援チーム長、パン・ヘリンに話を聞いた。