チョコレートエッグ、うさぎ、マシュマロがイースターではない。もし、そう思っているのなら、甚だしい誤解だ。
少なくとも、フィリピンには、そう信じる数百人の熱心なカトリック教徒がいる。彼らは、自らを鞭打ち、何人もの生贄を釘で十字架に打ち付け、復活祭で法悦を求める。磔刑の参加者は聖書通りに「十字架のイエス」を再現するため、ここ数年、その残酷さにカトリック教会は眉を顰めている。
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フィリピンの首都マニラから北に約50km離れたサン・フェルナンドの通りは、年に一度しかない、映画と見紛う復活祭に参加する観衆でごった返す。しかし、これは現実だ。生贄と執行人は、下ろしたてのローマ風衣装に身を包み、生身の手に本物の釘を打ち込む。
2014年は、デンマークからの旅行者を含め、20名の篤信者が生贄に志願した。彼らは、10分のあいだ十字架に吊るされたのち、近所の診療所で治療を受ける。
復活祭の磔刑に心身を捧げ続けてきた篤信者もいる。ロイターによると、ダニロ・ラモスが磔になるのは、2014年で23度目を迎える。「体力が許す限り、私は磔刑を望む」「神は私の献身をご覧になり、家族に加護を与えてくださる」
参加者は、イエス・キリストのメッセージを誤解している、と復活祭の磔刑を非難する教会の意向など気にかけない。
「苦行と自傷は違う」とサン・フェルナンド教区のアニセト・パチアノ大司教は身の毛もよだつ儀式に苦言を呈した。「身体は聖霊を宿す教会だ」
しかし、血まみれの儀式に飛び込んでみると、そんなキリスト教学など、誰ひとりとして意に介していないようだった。
「これは、神と私を結びつける至高の体験だ」。フィリピンの外から復活祭に馳せ参じた唯一の生贄、ラッセ・シュパン・オルセンはロイターに語った。「これは無上の喜びだ」
以下、「無上の悦び」がいかなるものかを撮えた写真と動画。
それに比べて鞭打ちは生温い。 以下、サン・フェルナンドに近いグアグアにある、サン・アントニオ地区の通りで、自ら「血染めの鞭打ち懺悔」を希望した篤信者たちの様子を撮らえた動画。