ジョン・ジョセフ(CRO-MAGS) が説く健康生活

VICE PLUS ローンチパーティー〉にて、まもなく来日するジョン・ジョセフ(John Joseph)。もちろん、シーンを代表するハードコアバンドの重鎮CRO-MAGSのフロントマンとして有名なのだが、ビーガン向けの書籍『Meat Is for Pussies』を出版したり、ヨガセラピストとして活動したりと、健康分野においても、その名は広く知れ渡っている。実際、〈VICE PLUS ローンチパーティー〉では、とても身体に良い〈クソ野郎のためのスムージー〉のつくり方を披露してくれる。もちろん当日は試飲可。そんなクソ身体に良いスムージーを嗜みながら、以下ジョン・ジョセフが2015年にカマした年頭所感を読んでみてはいかがでしょう。

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みんなに忘れないで欲しいのは、〈KISS〉というアクロニム(頭字語)だ。〈Keep It Simple, Stupid/アホ、シンプルにしろ〉。私も常に自分にそういい聞かせている。何かを変えたいときには、諦めないですむように、簡単な内容にしなければいけない。もし、みんながトルティーヤ・チップスやビッグマックを食べる生活を送っているのなら、ローフードダイエットと毎日3時間の運動をいきなり始めてはダメだ。間違いなく大失敗する。

飲み会、パーティに参加してもいいが、運動をやめるのは最悪だ。たいてい、地道な努力を怠り、いきなり無理なダイエットや無茶なワークアウトプログラムに奔り、新年の誓いを2月には放り出す。ゆっくり始めて、楽しめる方法を見つけるべきなのに。それに加えて、最も重要なのは食事。身体に悪い物を排除し、身体に良い自然食品、植物性食品、果物、野菜、豆類ならレンズ豆などを摂るのがベストだ。

これはいわば闘いなんだ。私たちは、常にとんでもない食品を食わされ、「生活習慣のせいで体調が思わしくないなら、何かを変えようとせず、この錠剤を飲みなさい!」なんてCMを無理やり見せられている。そんなもんを飲むうちに、別の錠剤が必要になり、さらに別のものへと続き、気がついたときには、30歳過ぎにして、8種類もの薬を服用する羽目に陥いる。そして、私たちの身体はザワつき始める。身体の中に何を入れているのか知る必要がある。発音もわからないような成分を摂るだけではダメなのだ。

すべてに気をつけなければならない。それがみんなに送る最高のアドバイスだ。ラベルを読め。その成分が何なのかGoogleで調べろ。

私の著書『Evolution of a Cro-Magnon』を読めば、1988年の丸々いち年、私がクラック・ジャンキーだったのはご存知だろう。でも、私は肉をまったく食べなかった。夜通しクラックを吸っても、次の日に100㎖の青汁を飲んでいた。そのおかげで、馬鹿なまねをいろいろとやったのに、死なずに済んだのかもしれない。しばらくの間は、〈ビーガンジャンクフード〉も試していたが、肥えただけだった。1991年は今より9キロも肥えていた。誰しも経験するだろうが、そんなときは自分を責めなくていい。前を向いて進もう。誰でも躓いたり、転んだりする。重要なのは、そこから立ちあがれるかだ。それが本当に大切なんだ。

自分の部屋で毎日15分間、腕立て伏せ、腹筋運動をするだけでも糧になる。ゆっくり始めようと、毎日続ければ、ハッキリと成果が現れてくる。最初から完璧を求めるなんて、ギブアップさせようとする悪魔の囁きだ。健康になりたければ運動しかない。近道はない。

私は11月に、メキシコ・コスメル島でのアイアンマンレース* を終えたばかりだ。私は常に次のゴールを視野に入れるようにしている。すぐに別のトライアスロンの予定を入れて、進み続けている。もちろん、トライアスロンでなくてもいい。なんでもいい。ただ、取り組むべき目標を設定すれば、何の目的もなく、休みの日をダラダラと過ごさなくなる。

* ワールド・トライアスロン・コーポレーションによって開催される長距離のトライアスロンレース。

私のガールフレンドは栄養士であり、トレーナーでもあるが、食習慣の悪さをトレーニングで帳消しにはできない、と断言している。だからみんなが年末年始にブクブク太るのだ。良からぬ物やスイーツを食べ過ぎても、ランニングマシンで20分走ればそれで済むと勘違いしがちなのだ。

最大の敵はそれだ。自らに負けてはならない。心に鞭打って、目を覚まし、きちんと栄養を摂って、トレーニングを続ける。

食生活とエクササイズによって、気分がポジティブになるのは証明されている。いつも欝々としているヤツ、「何もかもうまくいかない」というやつに会ったら、クソみたいなベールを取っ払って、どうしてそうなるのか、分析させるべきだ。ここでいう欝々とは、病理でいう鬱状態じゃない。その場合は医療関係者に相談すべきだ。私がいっているのは、常に暗い気分でいるだけのヤツらだ。そういう人間は文句や愚痴しかタレない。だから俺は、そんなヤツらをFacebookの友達から削除してやった。しかし、ベールを思い切り取っ払ってやりたい気持ちもある。そして、カマしてやる。「じゃあ、今日何をしたかいってみろ。先週はどうだ。この1ヶ月どうだったかいえよ。何が本当に問題なのかを知りたいなら、毎日の習慣として何をやっているのか検証しようじゃないか」

そこにこそ問題がある。毎晩遅くまで寝ないで、午前3時にベーコンエッグをしこたま喰う。喰った物は胃に留まり、3時間かけて腸内で便になるのだが、そのときはフットボールの試合を観ながら、さらにピザ3切れとかを喰らってやがる。気づいたら20キロ近くも肥え、腹より下が見えなくなってる。そして、またそこから問題の繰り返し。

私は身体が酸性にならないように、加工食品をすべて断っている。複合糖質であるキヌア、オートミールなど、脂質の少ない植物性タンパク質でエネルギーは摂取している。トレーニング中には、青汁やアオコ、便通をよくするマカ、クロロフィルを大量に飲む。これこそ太陽光飲料だ。コーヒーなんてとんでもない。そんなものは飲まない。そして発酵米から生まれた生菌も摂る。ランチは、サラダや野菜バーガーなんかだ。私もガールフレンドも、料理をしないディナーは、近所の<Angelica Kitchen>でする。そこでスープとパンを少し、それから海草、野菜、玄米少々と豆のプレートを頼む。どうだ、加工食品なんてどこにもないだろう。

よく聞かれる。「何を食べてるの? ビーガンなんでしょ?」。私はこう答える。「オマエこそ何を食べてるんだ?」とね。植物性食品は、信じられないくらいバラエティ豊かだ。『The Conscious Cook』* を読んでみてほしい。植物性食品で素晴らしい料理をつくるシェフの店にもいってみてもらいたい。<Candle 79>なんかだ。

* ビーガン料理の有名シェフ、タル・ロネン(Tal Ronnen)によるレシピ本。

健康食品店の常連になるんだ。遅かれ早かれ、何かをしなければならない。金をかけずに健康的な食事をする方法はいくらでもある。皆がこういう。「ジョン、そんな金はないよ」、いやいや、じゃあ何に金を使ってるんだ? ポルノ、タバコ、ストリップ、マリファナ、ビール、まぁ、そんなところだろう。何がいち番大切なのか考えてくれ。私は52歳だが、みんなより全然トレーニングしてる。身体を回復させ、維持させる食事を摂っている。もっと積極的になって、自分たちを毒しているヤツらに反旗を翻すんだ。

クラックを吸って何もかもダメだった頃、AR-15* で30発ほど部屋に弾を撃ち込まれた。だから俺は、何ひとつあたり前だとは考えていない。それではいけないのだ。明日が来るかどうかだって定かではない。35年間、スポンジのように吸収してきた。私のバックグラウンドは、家庭の崩壊、里親からの虐待、ニューヨークのストリート、拘置所、そんなモンばかりだ。

* 米軍の小口径自動小銃。

昨日、話をした女性はこういった。「何がきっかけで変わったの?」。私は、「苦しむのに飽きたんだ。惨めでいるのがもう嫌になった。変わりたかった」と答えた。ずっと盲目だったヤツが見えるようになったようなもんだ。私たちは、あまりにも多くのものをあたり前だ、と疑わないが、健康だけは当然のものだと勘違いしてはいけないんだ。