浮気は健康に悪い

不貞行為をされた側の精神的、身体的負担を明らかにした研究が発表された。
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translated by Ai Nakayama
Tokyo, JP
浮気は健康に悪い
Photo by Joselito Briones via Stocksy

私は21歳のとき、婚約者に電話で別れを告げられた。それから何年も経ったが、いまだにあの夜のことははっきりと覚えている。夏の終わりの夜、私は両親の家の私有車道にいた。母親の車の後ろに座って、通りから身を隠していた。彼は、別のひとと付き合っている、と認めたあと、「もう君のことは愛してない」と冷静に言い放った。電話を切ると私は家の中に入り、父親のタバコを1本抜き取った。

私は高校でも大学に入ってからも、タバコは吸わなかったし、アルコールも飲まないという少数派だった。そもそも興味がなかった。しかし、初恋だと思っていた男性、私の薬指に指輪をはめて永遠の愛を約束してくれた男性からの言葉をきっかけに、私はタバコを吸ってみたくなった。おそらくそのときの私の、信じられないという気持ちをコントロールする手段がタバコだったのだろう。その後、私はロングアイランド・アイスティーという鎮静薬も知ることになる。

2017年、『Journal of Social and Personal Relationships』に掲載された論文で、浮気された側は、ドラッグの使用やアルコールの過剰摂取など、健康リスクの高い行為に走る傾向があると判明した。その傾向は特に、パートナーが浮気をしたのは自分のせいだ、と自らを責める場合にいっそう強くなる(恥ずかしながら、実際私もそうだった)。結果として、パートナーの浮気という経験をしたひとびとは、精神的、身体的な問題を抱える危険が高まる。

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「カップルが直面する出来事の中でも、もっともつらく、ダメージの大きいのが不貞行為です」と本研究の筆頭筆者で、ネバダ大学リノ校の修士課程の大学院生、ロージー・シュラウト(Rosie Shrout)は〈PsyPost〉の取材で説明した。「浮気された側は、不貞が発覚すると、感情的、心理的に強い苦しみを経験します。私たちはこの感情的、心理的な苦しみが、避妊具なしのセックス、ドラッグ、アルコールの使用、暴食、拒食など、健康に害を及ぼすような行為に繋がるのかを突き止めようと考えました」

本研究のために、研究者たちは過去3ヶ月に不貞行為をされた232名の大学生を集めた。そのほとんどが、その相手と平均1.76年付き合っていたと回答している。研究参加者たちは、その不貞行為において、誰/何が悪いか(自分自身、パートナー、状況など)、自らのメンタルヘルスについて(鬱や不安が増えたと感じるか、など)、そして相手の不貞行為を知ったあと、どれくらいの苦しみを感じたかを分析するよう要請された。また彼らは、アルコールやドラッグの摂取、コンドームを使用しないセックス、食事の量、運動量など、健康に関わる行動に変化が表れたと思うか、という質問にも答えた。

そうして得られた研究結果によると、非当事者のパートナー、すなわち浮気をされた側は、自分自身よりも相手が悪いと思う傾向があり、彼らが不貞後に感じたと申告した鬱や不安、苦痛も強かった。また彼らは、健康を害するような行為に走りがちでもあった。いちばん多かったのは、食事量の減少/絶食(45%)で、以下はアルコール摂取(44%)、過剰な運動(29%)、ドラッグやアルコールで酔っ払ったときの性交渉(27%)、マリファナの使用(19%)などが挙げられた。

「健康を害する恐れのあるこれらの行為に手を出すということは、ネガティブな感情を減らし、ポジティブな感情を高めることで、不貞行為という事実に対処するための試みとして説明できる」と研究では述べられている。

また、本研究結果からわかるもうひとつの面白い事実は、その性差だ。「メンタルヘルスを介在して発生する影響は、男性に比べて女性のほうが強い」と論文では書かれている。「自分やパートナーを強く責める女性は、メンタルヘルスに大きな影響がもたらされ、その結果、パートナーの不貞行為後に、健康を害する恐れのある行為に手を出す率も高い」

この性差について、シュラウトは〈PsyPost〉の取材でこう説明している。「その原因とは、基本的に女性のほうが、自己やアイデンティティの拠り所として、恋愛関係に重きをおいているからです。その結果、パートナーに浮気された女性たちの自己認識がダメージを受け、メンタルヘルスが弱り、不健全で危険な行為に走るのだと考えています」

それは正しい。何度も浮気された経験のある女性である私が保証する。

This article originally appeared on VICE US.