この記事はVICE Netherlandsに掲載されたものです。
わたしは元カレからクラミジアをうつされたことがある。コンドームを使わずにセックスをして、同じ週に彼から電話で性感染症(sexually transmitted disease: STD)があると告げられた。翌日、彼は病院で処方された薬を持ってやってきた。「なくしたといって新しいものをもらうよ」と彼はいった。
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それを彼の優しさとして受け取ったが、念のため検査を受けることにした。もしかしたらどうにか回避して、薬を飲む必要がないかもしれない。残念ながら、結果は陽性だった。わたしはクラミジアに感染していて、「肛門にもあります」と医者は親切に教えてくれた。
わたしは思わず吹き出してしまったが、やや不適切な反応だったかもしれない。アナルセックスをしたことが恥ずかしかったのではなく、アナルのSTDなんて聞いたことがなかったからだ。処方された薬は、元カレのものとは違っていた。検査を受けてよかった。そうでなければ、今もまだ尻にクラミジアを抱えたまま生活していたかもしれない。
統計によれば、近年英国で淋病とクラミジアが上昇傾向にあるらしい。残念なことだ。このような病気に感染するのはとんでもなく不快なことだが、完璧に回避できる病気でもある。それを知っておくべきだった。
今回、数人の若者に史上最悪な性病体験について話を聞き、感染経路やそこから得た教訓を教えてもらった。当然だが、回答者は匿名を使用している。
「外陰部に水ぶくれができた」
昨夏、(オランダの音楽フェス)ローランズでSTDに感染した。初日の夜、わたしは完全に泥酔し、会ったばかりの男性とセックスをした。コンドームを使わなかったので、次の日にモーニングアフターピルを飲んだ。
それから間もなく、ヘルペスができていることがわかった。気味の悪い悪臭を放つ分泌物が出てきて、用を足すときには痛みを伴い、外陰部に水ぶくれができた。これだけでも十分すぎるほど不快な体験だったが、ヘルペスについてはもっと恐ろしい逸話を耳にしている。
最初はあの夜のことを後悔した。ヘルペスとピルのせいで体調が悪化し、しばらく生理も来なかった。さらに、どこの誰とも知れない相手とセックスをしたというのが気味が悪かった。番号も交換していないし、二度と会うこともなかった。
それ以来、アルコールとの付き合いを見直した。もう二度と、意識的な選択ができない状態にはなりたくない。セーフセックスについてもちゃんと考えるようになった。
性器ヘルペスは一生付き合い続けなければならない性感染症で、根本的な治療薬は存在しない。幸運なことに、常に感染するわけではないので、一生コンドームを使い続けなければならないわけではない。ただ、免疫力が低下しているときは再発する可能性が高い。
先日、あるキュートな男性に会ったとき、外陰部がヒリヒリし始めた。不安でいっぱいになったが、幸運にもヘルペスではなかった。それでも、パートナーに一生抱えることになる何かをうつしてしまうかもしれない、と思うととても心苦しい。
この経験は、自分のセクシュアルヘルスとより思慮深い関係を築く機会を与えてくれた。今は定期的に検査を受け、真面目に考えるようになった。友人やセックスパートナーとも、この話題について話し合うようにしている。──エリザベス(Elisabeth) 24歳
「トイレで確認すると、パンツは黄色の分泌物でぐちゃぐちゃになっていた」
ものすごく痒くて、常にかかずにはいられない。そう、僕はケジラミ症だ。今から2週間ほど前、股間に何かがいるのに気づいた。それは動いていた。指でつまみあげ、間近でよく観察してみた。クソ、シラミだ! 吐き気がした。
どうやって感染したかはよくわからない。数人の相手と避妊具なしのセックスをしたことはある。それにSTDとは長い付き合いだ。ケジラミ以外にも、クラミジアには一度、淋病は二度感染したことがある。
2年前、職場にいるとパンツの中で何かがベタつく感触があった。トイレで確認すると、そこは黄色の分泌物でぐちゃぐちゃになっていた。僕は淋病に感染していて、抗生物質を飲まなければならなかった。
その後、自分にこう言い聞かせた。「これからはセーフセックスを心がけよう、僕の体は神殿なんだ」と。けれど、その数週間後には「もうどうにでもなれ、コンドームなしでやってやる」と手のひらを返した。
1年後、休暇中に気分が悪くなった。ベッドに座ると、ペニスから膿が出てきた。(淋病治療のために)尻に注射をしてもらった医者にかかった。そのときは本当に体調が悪く、もう二度と避妊具なしのセックスはしないと改めて自分自身に誓った。それなのに、そんな経験をした後も、僕はまた道を誤った。どうやら自分は過去の失敗から学べないタイプの人間らしい。
STDを持っているなら、必ず性交渉の相手に伝えるべきだ。僕はそうしなかった。悪いことだとはわかっているが、恥ずかしくて伝えられないのだ。僕の体の扱いは無謀だし、愚か極まりない。この体は天罰の神殿だ。頭ではセーフセックスの重要性を理解しているのに、それを守れない。そうできない正直な理由は、とんでもなくバカげているが、コンドームなしのほうが盛り上がるからだ。──ピエト(Piet)32歳
「膣とピアスをつけた乳首の両方に陽性反応が出た」
2022年の終わり頃、セックスをした男性から、行為後に淋病になったので検査をしたほうがいい、というメッセージが来た。医者から検査結果を伝えられたとき、「淋病とクラミジアの両方に陽性反応が出ました」と告げられた。わたしはショックを受けた。2つの性病に同時に感染するなんて。しかも相手が一種類だけなのに、わたしが二種類なんてことがあり得るのだろうか?
(彼の前に)最後にセックスをした相手は元カレだった。別れの理由は彼の浮気だった。彼は浮気相手とは寝ていないといったが、わたしにはそれ以外相手がいないので、彼からうつったに違いない。ヤバいことになった。
元カレとは別れた後もセックスをしたので、彼に(STDについて)警告のメッセージを送った。彼はクラミジアの陽性反応が出た。その時に確信した。わたしは2人の男性から、別々のSTDに感染したのだ。
体調はそこまで悪くなかった。ただしピアスをつけた乳首が化膿したのは最悪だった。耐えがたい痛みに襲われた。その後、膣とピアスをつけた乳首の両方に陽性反応が出た。
クラミジア治療で薬を処方されたが、空腹で飲んだせいで吐き気にも襲われた。淋病のほうは尻に注射され、軽い筋肉痛はあったが、大したことはなかった。
それ以来、知らない相手とするときはコンドームを使うようにしている。以前は違った。幸運なことに、今では全部が笑い話になっている。──ミミ(Mimi)20歳
「もし確認していなければ、今ごろクラミジアを抱えたまま普通に歩き回っていたかもしれない」
わたしの性病体験は少し複雑だ。2020年の夏、わたしは初めての彼氏と別れた。その数ヶ月後、リック(Rik)という相手と少しだけ付き合った。わたしがそれまでセックスしたのは、彼ら2人だけだった。その後、Tinderでバス(Bas)という男性と知り合い、初めてワンナイトを経験した。わたしたちがセックスをしたあと、彼から症状が出たのでSTDの検査を受けたほうがいい、というメッセージが届いた。
わたしはとても信じられなかった。モノガマス(一対一)の関係を2回と、行きずりの関係を1回経験しただけなのに? パニックになってかかりつけ医のもとに駆け込んだ。
結果は陰性だった。ホッとしたが、なんとなくお腹の中に落ち着かない感覚があった。そこでかかりつけ医に連絡し、もう一度確認してほしいと頼んだ。「ああ、尿検査の結果がまだでしたね」と彼女はいった。そこで病院のミスが判明したのだ。
翌朝、電話がかかってきた。わたしはクラミジアに感染していた。もし確認していなければ、今ごろ陽性のまま普通に歩き回っていたかもしれない。
STDをうつされた相手はいまだにわからないが、知る権利はあると思う。2種類の薬のおかげで症状は治まったが、不安で複雑な気持ちは消えない。それ以来、定期的に検査を受けるようにしている。みんなもぜひ検査を受け、たとえ性交渉の相手が少ないとしても、油断しないでほしい。──ドーフィン(Dauphine) 26歳