カリフォルニア州オークランドに住んでいるハリモ・アリ・イサクは、そのソマリアから逃れてきた難民。渡米前、難民のキャンプ地であったケニア・ダダーブにおいて、初めてレストランを開業。イネ科の植物であるテフの粉を水で溶き、発酵させたクレープのような主食「インジェラ」を難民たちに提供してきた。不安だらけの難民たちにとって、故郷の味は、束の間の喜びであり、いつか訪れるであろう平和な日々への希望でもあった。渡米直後は右も左もわからず、何もできなかったハリモ・アリ・イサクだが、現在は快適なアメリカのキッチンで腕を揮い、家族に料理をふるまう。難民キャンプのそれとは雲泥の差だ。家族全員での渡米がかない、「今とても幸せ」と彼女は喜びを隠さない。そしていつの日か、ここアメリカでもレストランを開業するのが彼女の夢だ。「アメリカを離れるつもりはない。いつかソマリアが平和になったら考えるけど」故郷に帰りたいと願う難民もいれば、そうでない難民もいる。未だかつてないこの国際問題に「答え」が出る日は来るのだろうか。原題:REFUGEE CHEFS – HALIMO SOMALIAN REFUGEE LIVING IN OAKLAND,CA (2015)