ジムで守るべき基本ルール8選

新しい年が始まった。ジムで嫌われるアルアルな失敗をしないように。
Daisy Jones
London, GB
AN
translated by Ai Nakayama
Tokyo, JP
Two people lifting weights at the gym while wearing athleisure ジム
Image: Charlie Kwai

「ジムに通う」というのは客観的に見ればおかしな行動だ。毎月、うめき声を漏らしながら汗を流す他人たちがぎゅうぎゅう詰めになった広い部屋に入るためにお金を払っているのだから。しかもその目的は、マシンの助けを借りながら自らの四肢を動かすこと。シンプルに外に出ればいいのに、自然の理に反している。とはいえ、鍛えて大きくなった肉体はやっぱりイケているし、がっちりと引き締まった身体ならもし襲われそうになっても相手を打ち負かすことができる。しかも新年に行えることとしては何よりも善き選択だ。べろべろに酔っぱらったり、金欠にも関わらずフリマアプリで不要なモノを買うより全然いい。

1月になるとジムには初心者が増えがちだ。それ自体はすばらしい。ジムはムキムキなひとたちのみが入ることが許される排他的なクラブである必要はない。ただしジムの基本的なルールを頭に入れておかないと、周囲のひとたちをイラつかせることになってしまう。そもそもジムのルールを守るべきなのは初心者だけではない。妊婦エクササイズ用のデカいバランスボールを蹴散らして、そのジムとはオサラバしたくなるような行動をとる常連客も少なくない。

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そういうわけで、ジムにおいて守るべき8つの基本ルールを以下に挙げてみた。私はエキスパートではなく、そもそもバーベルを持ち上げることもできない細腕のよわよわ人間だ。しかしジムに行ってイライラするのは好きなのである。この記事を書くにあたって、もちろんジム仲間の知見を借りたのだが、そのうちのひとりがこう言っていたのでお伝えしておきたい。「ジムにいるのは日常生活ではつるむことがないだろうと思うようなひとばかり。そんな人間たちが汗をかきながら筋トレに励んでる。つまりそういうことだよ」

使用後のマシンは拭くべし

ひとびとの免疫系を弄んだ新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)によるパンデミックやロックダウンは別とすると、この数年で何が起きたのかわからないのだが、「死にたくなる」とか、運動不足により「骨が脆くなったような感じがする」とか、奇妙なパラノイドに悩まされている。

病原菌の温床になるという意味で、ジムは保育園と同じだ。鼻水を垂らしている赤ん坊の代わりに、家で休みたがらない具合の悪いマッチョな男たちがたくさんいるというわけである。なのでマシンの使用後は必ず拭こう。くしゃみを受けた手でそのままバーベルを持ち上げるひとは驚くほど多い。

マシンに座ってスマホを使うな

ウェイトマシンに居座りスマホをスクロールして休んでいる奴らは一体どういうつもりなんだろうか。お正月休みは終わってるよ、休んでないで動こう。

他人に絡むな

浮気は健康に悪い

テレビではみんな「ジムで会ったひと」と浮気をしているが、大多数のひとが一人で静かに身体を動かしているのが現実だ。FOO FIGHTERのEDMリミックスが流れるなか、クロストレーナーの向こうからキモいヤツに見つめられたくはない。あなたが通っているジムが、〈ジム〉という名のナンパスポットではないのなら、社交は最低限に控えよう。

自分を他人と比べるな

これは他人に迷惑をかけないためというよりは、自分のメンタルヘルスのためだ。ジムには、洗練されたボディラインを強調させるようなジムウェアを着てポニーテールを揺らすひとや、美術館に並んでいる彫刻のような腹筋があるひと、そしてネオンカラーやプロテインブランドのボトルを持ち歩いている主が必ずいる。あなたはそんなひとにはなれないかもしれない。彼らは生まれながらにしてああいう人間であり、ああいう人間のまま死んでいくのだ。自分をそういう〈体育会系ピープル〉と比べる必要はない。(あえて自分はダメな人間だと思いたいなら別だが)

A row of dumbbells at the gym

Image: Charlie Kwai

うめき声は控えめに

ダンベルを持ち上げるとき、とんでもない声を漏らさずにはいられないことがあるのは承知している。それはみんな経験がある。ただ、ジムにはわざと大声で、どうかしたのかと思うくらいにうめく人間がいるのも事実だ。そしてそれは周囲のひとたちに居心地の悪さを感じさせる。なぜならその声はセックスのときの喘ぎ声にも似ているし、あるいは死ぬ間際の声、ウンコを出すべくふんばっているときの声にも似ており、そのどれもが歓迎すべき状況ではないからだ。

体臭に注意

それは友だちかもしれないし、親戚、あるいは同僚かもしれないのだが、世の中にはろくな制汗剤もつけずにグレーのスウェットパンツとパーカーを着て30分フルでHIITクラスに参加するひとがいる。2020年の夏にコロナの後遺症で嗅覚を失ったのではないかぎり、腐ったネズミが山積みになったみたいなニオイをジムに充満させて許されることはない。

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1か所にとどまるな

マシンを独占するのは非常に迷惑なことだ(ライクラに身を包み、3時間ぶっ通しでランニングマシンで早歩きしてるガチ勢の年配女性は別だ。どうぞ独占していただきたい)。だからといって軍事訓練場のように走り回れというわけではないが、マシンはみんなのものだということを意識するようにしたい。カヌーやボートを漕ぐような動作によって、引く・押すを繰り返し有酸素運動を行えるローイングマシンが大好きでずっとやっていたいと思うなら、池に行って本物のボートを漕げばいい。

楽しくやろう

〆はこれまでのポイントを打ち消すようなポジティブな言葉で、と決めていた。とにかく楽しもう。いわゆる「楽しむ」ことが無理だとしても、少なくとも自分が満足することを目標に。2023年が実り多き1年になりますように!

@daisythejones